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■「掟上今日子の鑑札票」は、なんだかこれまでと感触が違う。隠館厄介が存在感デカすぎてちょっと…

2021年 5月 7日(金) 0:00:00



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掟上今日子の鑑札票」を買ってきました。

掟上今日子の鑑札票

そろそろ、僕の脳内における、「掟上今日子=ガッキー(新垣結衣)」の呪いは解呪されたようなのですが、今回の作品で、掟上今日子の声が堀江由衣で脳内再生されるようになってしまったので、けっこう厄介です。あ、ここでの『厄介』は、「やっかい」と読んでくださいね。

これ以降の「厄介」の読みは、は「やくすけ」でよいです。

掟上今日子=ガッキー」の呪いをかけられることになったきっかけのテレビドラマ版の「掟上今日子の備忘録」ですが、出演者や視聴者の視点の置き場の都合から、依頼者を隠館厄介(演:岡田将生)に固定される形で物語が進行していました。

そこでの厄介さんの活躍の影響か、その後の原作小説でも厄介さんが物語の主軸になる(ドラえもんにおけるのび太くん的ポジションの固定化の)ケースが多く見られるようになってきました。まぁ、確かに与えられている性質的に、(テレビアニメ版サザエさんにおける花沢花子の如く)立ち回りさせやすいですからね。

ただ、今回はちょっと、悪目立ちしすぎかな。

特に後半は、探偵でもないのにしゃべりすぎる。作者のお気に入り的存在になってしまったのかも知れませんけど、なんだか、ちょっと強すぎるかなぁ。

なんだか、その強すぎる様子が気になりすぎて、なんだか落ち着いて読めませんでした。まぁ、物語の内情のせいで落ち着けなかったということからすると、没入感は確保できていたのかもしれませんが。

あと、中盤の沖縄のシーンは、何でこんなに長いのですかね?

いや、西尾維新作品において、……というか、<物語>シリーズなんかだと、阿良々木暦くんと愉快な友達1名との、無駄に長いトークが作品中に存在しているのはよくあることなのですが、読んでいて楽しいのです。

ただ、今回の沖縄の話は、(作者がどんなインプットを受けた結果でのアウトプットなのかはわかりませんが)あまり面白くないものを長々と読まされていた感じ。

小説を読んでいて、長々とした解説を「読まされて」いると感じる場合、僕は推理小説における「チェーホフの銃」のポジションなのかな?(つまり、これは伏線で、あとから回収される要素なのかな?)と思うようになり、脳内に特別なメモリを確保して記憶するようになります。小説を読んでいてメモリの確保は一定のストレスになります。

伏線の回収が鮮やかであればあるほど、そのストレスの反動が輝かしいものになり、作品の評価を爆上げすることになります。

竜騎士07氏の「ひぐらしのなく頃に」にしても、上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」にしても、前半でガンガンとメモリ確保によるストレスが蓄積され、後半あるいは終盤で一気に反動が来て、輝かしい作品として記憶されることになったんだと思っています。

で、「掟上今日子の鑑札票」におけるストレスは、その反動で作品全体が輝いて見えるようになるほどの伏線回収が、後半または終盤にあったのかな?と思うと、ちょっと、なんというか「そんなもんかな?」程度で終わっちゃった気がします。拍子抜けだけして、ストレスは解消されずに終わった感じ。

ちなみに、調べてみたところ、掟上今日子の声が堀江由衣で脳内再生される現象については、だいぶ前から同じことを感じている人は多かったみたいですね。

同じ西尾維新作品の<物語>シリーズにおける、羽川翼と、なんとなく重なるところがあって、一部には「同一人物」説も漂っているくらいなので。

今回、その点をそこそこ示唆するような内容が登場した気もしますが、確定的ではなく、かといって否定するわけでもなく、曖昧に終わらせるにしても、もうちょっといいやり方があるんじゃないかな?と思ったりして、これもまた、無駄に脳内メモリを消費してストレスを高めただけになってしまった感があります。作者の迷いを強烈に感じます。あれ?こんな迷いを作品内に残したまま作品をアウトプットするような作者でしたっけ?

2月に読んだ「りすか」の最終作4月末に読んだ「デリバリールーム」は、爽快さが目立ち、けっこういい感じに面白いと感じたのですが、この「掟上今日子の鑑札票」は、登場人物が悪目立ちし、中盤の伏線はストレスを溜めるだけの中途半端な「回収」に終わり、(内容には触れませんが)帯の宣伝文が拍子抜け、と、僕にとってはちょっとよろしくない評価になりました。(個人の感想です)



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