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■コマンドライン版デフラグが「1 を渡しています:」と表示しているのは何を意味しているか?謎を解く

2022年 6月10日(金) 0:00:00



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私は10年くらい前まで、割と頻繁に「すっきり!! デフラグ」というフリーソフトを開発・更新していました。

まぁ、10年ほど前に起きた事件をきっかけに、モチベーションがダダ下がりしてほぼ更新が止まりまして、その後も不定期&超低頻度で細かいメンテナンス等は行っていたものの、2016年に最後の更新をして、それっきりになっています。そんなことをしているうちに、Windowsはアイドル時間を用いて自動的にデフラグを行ってくれるようになったし、デフラグが適さないといわれるSSDがメインになったしで、人間が自発的にデフラグを行わなければならない状況はほぼほぼ消滅したように思います。

私もここ6年程は、自発的にデフラグを実行することは無くなりました。(裏で勝手にOSが流してくれているので、私が自発的にデフラグをする必要がない)

という状況でありつつも、すっきり!! デフラグを活用している方はまだまだいらっしゃるようです。

で、先日、ちょっと気になる疑問がツイートされているのを見かけました。

「1 を渡しています:」「2 を渡しています:」「3 を渡しています:」…というメッセージが表示されるが、いくつまであるのか?

このメッセージは、比較的最近のバージョンのWindows付属のコンソール版デフラグ(defrag.exe)に /U(-u) または /PrintProgress を付けたときに表示してくれる、操作の進行状況です。

コンソール版デフラグ(日本語Windows 11)

結論から言ってしまうと、断片化状況によって、2で終わることもあれば、9まで続くこともあり、まちまちです。何とも言えません。

さて、それ以前に、「1 を渡しています:」「2 を渡しています:」「3 を渡しています:」…というメッセージは何を意味しているのか?ということについて、私は気になりました。

ちなみに、すっきり!! デフラグは、Windows付属デフラグの実行に最適な環境を整え、Windows付属デフラグを実行して、PCを自動終了するためのソフトウェアとなります。

昔(Windows 95/98/Me時代)は、デフラグの「やり直し問題」(デフラグ中に他プロセスによりディスク書き込みされると、デフラグが最初からやり直しになり、いつまで経っても終わらない)というのがあって、様々なお邪魔要因を排除してからデフラグを実行する必要がありました。また、Windows XP時代にはハードディスクの大容量化により、デフラグに長時間かかることが増えてきました。すっきり!! デフラグは、様々なお邪魔要因の排除であるとか、就寝前/業務終了後にデフラグを実行してそのまま電源を切る機能の提供とか、そんな感じのデフラグ実行の周辺環境を整える機能を提供するためのソフトウェアとして制作されました。

たまに私がデフラグを実行するソフトウェアを開発していると誤解されますが、デフラグそのものであるとか、デフラグ中のメッセージは、すべてWindows付属のデフラグが実行したり表示したりしているものとなります。なので、このメッセージが何を意図するものかは、マイクロソフトの開発者に聞かなければ分かりません。

ただ、最近の日本語版Windowsは、ちゃんとした翻訳者がいて製作されているというよりは、英語版のWindowsの各メッセージを自動翻訳(機械翻訳)して作られているだけだったりします。

昔は「About」に対して「バージョン情報」という意訳を付けたり、「Run/Save as...」に対して「ファイル名を指定して実行/名前を付けて保存」という意訳を付けるなど、けっこうナイス!な翻訳をしてくれていたMicrosoft社ですが、最近ではおかしな機械翻訳が増えてきています。去年もWindows 11のインストール/アップデート中の表示メッセージに『あなたはそこに15%です』という珍妙な翻訳を付けて話題になっていたのも記憶に新しいでしょう。(原語:You're 15% there. Please keep your computer on.)

これは多くのユーザーの目に頻繁に留まるメッセージでしたから、フィードバックHubより訂正申し入れがなされて、現在では訂正されました。

ただ、Windows 11のコンソール版デフラグを実行するユーザーなんてどれくらいいるのでしょうか?多分、フィードバックHubより訂正申し入れされることがないくらい少ないのではないでしょうか。となると、「1 を渡しています:」「2 を渡しています:」「3 を渡しています:」は機械翻訳(誤訳?)のままという可能性が高い気がします。

となると、英語版のWindowsのコンソール版デフラグを実行してみれば、意味が分かるかもしれません。

幸いなことに、英語版Windows実験環境のHDDイメージをマイクロソフト社が無償公開してくれていますので、簡単に試すことができます。実際にやってみます。

コンソール版デフラグ(英語Windows 11)

なるほど、「Performing pass 1:」「Performing pass 2:」「Performing pass 3:」が原文のようですね。

日本語版の画面と比較すると、Analysis分析DefragmentationOptimization最適化Free Space Consolidation空き領域の統合…、と訳されていることが分かります。このあたりは、きちんとした翻訳になっていると思います。

英語版の方に表示されているEvictionについては、それに相当する語が日本語版の方の画面に出てきていませんが、これはたまたまかと思います。Evictionについて調べたところ、英語の質問掲示板で質問されている方がいて、「追加のストレージスペースが必要な場合に、クラスタからデータを削除すること」と回答されている方がいましたのでご紹介しておきます。最近ではデフラグがディスク上のデータを削除することもあるのですね。初めて知りました。

もう一つ、英語版の方のみ、タイトルとして表示されているMicrosoft Drive Optimizer(オプティマイザー)が、なんだかカッコいい響きですね。
この先は、柊マグネタイト様の「マーシャル・マキシマイザー」を聞きながら調べていくことにしましょうか。

ドライブ・オプティマイザー
失敗(FAIL)! オプティマイザー オプティマイザー!
ハード ディスク壊したってDEAD強行!
「なんてことだ!(中のデータが)死んでしまう!」
だが(ハード)ディスクは回る漢字CHAR(NEC PC98)MATE!

では、「Performing pass 1:」を「1 を渡しています:」と翻訳しているのは正しいか?

英語のニュアンスがそもそも分からないため、正しいのかどうかは分かりません。
ただただ、「1 を渡しています:」では意味が分からない、といったところです。

Performing(Perform)」は、実行する・演技する程度の意味かと思います。
というか、コンピュータにおいて「実行」では何でもアリです。

pass」はどうでしょうか?様々な意味を持ちます。


(動詞として)通過する、通っていく、進む、追い越す、通じる、走る、渡す、…、(副詞として)次々に回される、言いふらされる、言葉などが交わされる、ときが立つ、過ぎ去る、立ち去る、消える、移る、消え去る……等々。ちなみに、トランプで次の順番の人に飛ばす「パス」もこれです。参考:Weblio 辞書


この中に「渡す」という意味があるため、「Performing pass xx」を「xx渡しています」と翻訳したんでしょうね。機械翻訳で。

では、実際のところはどんな意味になるのか? 英語版の画面を見てもらうと分かる通り、最適化を何回も(見えていないところも含めると9回)、同じように繰り返している様子が読み取れます。

連想されるのは、コンピュータ言語のコンパイラにおける1パス2パスの概念、あるいは、動画変換における2passエンコードの概念です。

これは想像ですが、複数の段階に分けて実行することで効率よく最後まで断片化解消を試みているのではないでしょうか。例えば、1回のデフラグではフラグメンテーション(断片化)が残ってしまうため、もう一度最初に戻ってやり直しているのではないでしょうか。

実は、すっきり!! デフラグにも「デフラグを複数回実行する」という機能があります。同じデフラグのプログラムを2回以上くりかえして実行する機能でして、激しく断片化しているときにこれを行うことで、効果があるということは、当時から知られていました。どうやら、現在のWindows付属デフラグは、これを素で実装しているのかもしれません(想像)。

デフラグのパス?
※イメージ図

というわけで、おそらく、断片化率がある程度下がるまで、何度でも繰り返して自分自身を実行しなおしているということかと思います(想像)。これを、「Performing pass 1:」「Performing pass 2:」「Performing pass 3:」……と呼んでいるのだとすれば、辻褄が合う気がします。

ただ、日本語化(機械翻訳)するにあたって、これではニュアンスが伝わらず、「xx渡しています」と翻訳してしまったのではないかと想像します。



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