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■「涼宮ハルヒの直観」を読み終わり。作者は何かにハマっていたのかな?とか思ったり。

2020年12月21日(月) 0:00:00 [さくらのブログから転記]



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今月初めに、「涼宮ハルヒの直観」が届いたわけですが、先日読み終わりました。

最後の大作「鶴屋さんの挑戦」も読み終わりました。

202012haruhi.jpg

七不思議オーバータイム」もそうですが、今回は過去の名著からの引用であるとか、日常のミステリーが多めとかいった感じですね。

いつもは、真相があまり綿密に組み立てられていないような不思議系の話とか、過去未来形の話とかが多かった気がしたので。

(前作からかなりの年数が経っているので、ただの僕の印象ですけどね)

鶴屋さんの挑戦」が謎解き的な要素を多く持っていたこともあり、作者はお休みしている間、何かしらミステリー作品の「濃い影響」を受けていたのかな?とか思いました。

そういえば僕も、ここ十数年だと、ミステリー関係では「うみねこのなく頃に」の影響を受けたかもしれません。この作品「うみねこのなく頃に」自体の出来はあまり評価していないのだけど、この中で語られるミステリーのフレームワークがどうあるべきかについてを詳しく語ってくれていることについては、大きく評価しています。

202012_umineko.jpg

第1話の主人公「右代宮 戦人(バトラ)」が、第2話以後の話ではメタな存在となり、謎解きに挑戦するようになります。

ある程度慣れてくると、「未知の仕掛けXを使えば(魔女の仕業ではなく)人間の仕業と言える」「未知の薬品Xを使えば(魔女の仕業ではなく)人間の仕業に言える」という論破の仕方を連発するようになり、「ゲームとして興が削がれていく」様子が、実に丁寧に描かれます。

その後の話で、ノックスの十戒などを登場させて、ミステリーにおけるルールを説明します。これもまた、非常に丁寧。

竜騎士07さんだから書ける、サウンドノベル流の書き方で、とてもうまく書かれていました。「うみねこのなく頃に」クラスの、大量の文字をつぎ込めるて、かつ、プレイヤーがこれしきの事では離れていかないだろうという信頼がある作品だからこそできることでしょう。

そういえば、過去作品「ひぐらしのなく頃に」では、ここらへんが無茶苦茶とも思える感じがしたし。

ミステリー小説がしっかりとした理論というか、「作者と読者の間にある種の契約関係」の上に紡がれるということの大切さ。

このあたりの、一見してテキトーそうなことについて、「実はしっかりとしたルールがある」みたいなところは、別の作品…たしか、のだめカンタービレを読んだ時にも感じたかもしれません。主人公「のだめ」は、音楽をただ心で楽しむものとして考えてきたのだが、いろいろうまく行き、中盤から海外留学して、音楽が「理論」で展開されている様を目の当たりにしてショックを受ける。周囲の友人たちは、当然のように理論を話し合っている。自分だけ取り残される。(千秋先輩は当たり前にそれをやってきていた)

読者の視点は、のだめにセットされています。読者とのだめは、共に圧倒されます。

今回の「鶴屋さんの挑戦」でも、周囲の登場人物(古泉、T、長門)は、ミステリー要素を、過去の名著などを引用しつつ、論理的に話し合いますが、それについていけずに圧倒されるキョンとみくる。キョンとみくるは、読者側の視点に立っているともいえる。

作者は、その両方の視点を巧みに行き来して、「涼宮ハルヒ」シリーズらしい作風を仕上げる。ただし、知識としては、古泉やTと同様の知識を展開したり、持論を持っていたりする必要があるわけですね。

このあたり、作者の谷川さんが、膨大にアウトプットしたくなる動機を得る何かが、このお休み中の10年ちかい期間の間に、あったのかもしれません。



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