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■使うのを恐れるべき表現はシロクロだけじゃなかったか。色だけじゃなかったか。もっとか。

2020年 8月 7日(金) 0:00:00 [さくらのブログから転記]



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2か月ほど前に「シロ?」「グレー?」「クロ?」という表現についての記事を掲載したのですが、あれから2か月経過し、どうやら使うのを恐れるべき表現は、シロクロだけでないし、ましてや色だけでないっぽいなというのを感じました。

あの後、ロクに主従関係があるわけでもないのにmaster/slaveを使うIT業界の慣習も改められそうという話も目にして、どうやら着実に、影響範囲は増大しているなという感じです。

私の場合、ヘルプファイルやサポート文書を公開する立場として、過去に公開したものまでさかのぼって修正するかはさておき、これから作成するものは、「なるべく叩かれないであろう」「今後叩かれないであろう」無難な表現しか使っていかないようになるかな、といった感じです。

私自身、差別をしようと思って、シロクロという言葉を使っているつもりはないですし、おそらく日本人の場合ブラック企業やブラック校則を、黒人差別を意識しながら使っている人は少ないはず。自分の感覚としてもそんな感じです。

一方で、先述の記事で書いたリンク先のラジオを聞けば、黒人の人たちが日本国内で受けてきた経験もまた事実であって、言葉を耳にしたり文章を目にしたりするたびに、心にグサッと来るような経験を今後させてしまうようなことも、あってはならないと思っています。

ここで怖いのは、ヘルプファイルやサポート文章は、この先々も、もしかしたら未来永劫残ってしまうかもしれない一方、こういった「差別語」認定範囲は、この先々を考えたときの波及範囲がわからないということ。

色について考えれば、シロクロだけではありません。危ないことについて「黄信号」「イエローカード」(黄色人種差別につながる)、アウトなことに関して「赤信号」「レッドカード」(ネイティブアメリカン差別につながる)というのがどうかと言われれば、もしかしたら1年後には状況が変わっているかもしれません。黒という色に対して差別的であるという説明として「色に善悪をまとわせるべきではない」を純粋に考えれば、そういうことです。もちろん、高貴であることを示すピアノブラックや、ブラックカードについても同様であることは言うまでもありません。

ことの影響範囲が色だけでなく、master/slaveのような言葉にも波及していることを考えると、例えば日本国内で、国外のことを指すために用いている「海外」という言葉だって、どうなるか分かりません。海の向こう側でも日本国内であるパターンは多いわけで、「海外」という言葉が、離島に住む人々を不当に差別していると言われるかもしれません。

一部では、ここにきて「バナナやスポーツカーは性的対象とみなされる」などという文化まで新しく登場してきているので、これが何に広がってくるのか、未来を予測しての表現や画像の準備はどんどん難しくなります。

昨今は差別語だとされる言葉に対して、文脈や歴史などは考えずに批判するor使わないようにする姿勢が正しいとされがちなので、チー牛が差別語だと扱われ続けると、将来的に、チーズ牛丼を販売していたすき家に矛先が向いたりしないかみたいな心配があったり。

そんなバカな!と思う方もいるかもしれませんが、ちょっと前までは「スパム」って、本来の食べ物としてのスパム(SPAM)以上に、ネット上の迷惑を意味する「スパム(spam)」(スパムメール等)としての利用ばっかりを見るようになってしまい、本来の食べ物としてのスパム(SPAM)の販売元が苦言を呈したりするほど深刻になったりとかしてましたからね。

というわけで「ブラック校則」が「理不尽校則」と言い換えられるのと同様に、「海外」も、より適切な「国外」という言葉へ言い換えられるのも、そう遠くないことかもしれません。色に善悪をまとわせないと同様に、本来の意味以外をまとわせない、余分な比喩をしない、ということで、より伝わりやすくする効果も期待できます。

もちろん、本来の「色」を表すために色の名前を使ったり、時代劇などで主従関係が本当にある役柄でmaster/slaveが用いられるのは、正しいことだと思います。

こういうのって、ヘルプファイルやサポート文書を公開する立場としては、「過剰に言葉狩りをする」というよりは、「過剰反応をする人に"配慮"して」プロアクティブに防御する、言い換えれば、率先して「委縮する」ということなんですよね。なかなか難しいことです。




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