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■除夜の鐘へのクレームと、フリーソフトへのクレーム

2020年 1月 5日(日) 0:00:00 [さくらのブログから転記]



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去年末、2つのクレームの話が話題になっていました。

一つは、TeraTermの開発者の一人に粘着質なクレーマーが嫌がらせに近い行為をしていて、結果的にその開発者が開発から離れたこと。SNS上では訴訟も検討しているとのことでした。

もう一つは、除夜の鐘へのクレームがあり、深夜に鳴らすことを諦めるお寺が増加しているという話。

お寺では12月31日の深夜に除夜の鐘を108回も鳴らすということを知らなかった人が寺の近所に引っ越してしまい、鐘が鳴り続けるので何事かと思い警察に通報してしまった、みたいな話も実しやかに語られていました。

SNS上では、少数のクレームで長年親しまれていた行事が止まってしまうことへの懸念が多く語られていました。

逆に、除夜の鐘を鳴らせと12月31日の深夜にデモ活動して大きな音を立てたらいいんじゃないか、みたいな過激な意見もありました。

このあたりは興味深い「思考実験」だとは思います。

去年は献血に際して掲示されたポスターへのクレームを初めとして、「○○を中止せよ」というクレームを多く聞く1年でもあった気がします。

とはいえ、そういったクレーマーは全体の1%程度であり、残りの99%としてサイレントマジョリティーを形成しているから、大勢の声が届かない、クレーマーの声ばかりが目立つ、とも言えます。

フリーソフトを作っていてもよくある話で、改善要求をしてくるのは少数派だが現状維持派は9割以上というのは自分でも経験があります。

「少数のクレーム」は無視しなければならない一方で、「少数の声」は拾い上げなければなりません。

それが「声」なのか「クレーム」なのかを見極めるのは大変難しい。


声も上げられずにいた人が、ネットなどの力を借りてようやく声を上げられるようになった/声を上げる勇気を得て声を上げたというものを、「今までも大丈夫だったのだから、これまでも大丈夫だろう」と押さえつけてしまうのも少し違う気がします。

実は今まで我慢に我慢を重ねてただけだが、ついに爆発した、ということならば、「これまでは大丈夫だったのだから」「99%が良いと思っているのだから」これまで通りに黙っていろと少数の人に押し付けをし続けるというのは、数の暴力に他ならないわけです。

ちょっと政治的な話題が入りますが、沖縄の基地負担の問題や、原発周辺地域の問題には、こういった問題が絡んでいるようにも感じます。昨今の性暴力問題や、学校・職場等でのハラスメント問題も、こういった問題が絡むと思います。

昨日取り上げた連続誤検知の問題でもそうですが、「連続誤検知が起きている者など少数派なのだから、全体的なセキュリティを維持するためにはそういった声は黙殺してよい」というように傾けられたのでは、虐げられる者としては堪ったもんじゃありません。

「少数の声」を「少数のクレーム」だと勘違いすると、上記のような問題は放置されます。

かといって、「少数のクレーム」を「少数の声」だと勘違いすると、世の中の萎縮を招き、文化を衰退させます。

2020年は年号的にも節目の年なので、オリンピック・パラリンピックなどの大きめのイベントが多く開かれそうです。

となると、「少数のクレーム」もその分多くなりそうです。

でもそれは「少数の(被抑圧者の)声」かもしれません。「少数の(クレーマーの)クレーム」かもしれません。

どっちなのかを見極める目を育てたいです。



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