INASOFT 管理人のひとこと


フリーソフトダウンロードサイト「INASOFT」の管理人 矢吹拓也 が日々の「ひとこと」を語るページです。
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■フリーソフトと広告問題

2011年11月25日(金) 0:03:31 [はてなダイアリーから転記]



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フリーソフトの作者にとっては、なかなか敏感になりたい問題です。

特に僕の場合、5年前に同梱ソフトをやっていましたし、その後もいくつかの企業からアプローチがありましたし、今年に入ってからは企業訪問もやりましたし、ちょっと前に公開した開発費に関するアンケートの件もありますし、なおさら敏感になります。

よくあることとしては、初めのうちは、フリーソフトを作りたくて作っていて、数少ないけれど寄せられる反響に喜び、アイディアが浮かんできたり寄せられてきたりしてソフトウェアが発展し、ユーザー数が増えて喜び……なんてことをしています。

無償の喜び、なんて言われることもあります。「アガペー」じゃないですけど、崇拝や信仰……って言ったら大げさかな。人気を集める源泉…うーん、なんて言ったらいいだろう。そんな感じです。

でもだんだんと、ユーザー数が増えてくれば苦情も増えてくるわけだし、わけの分からない言葉(色んな意味で)で要望が来て疲れることもあるわけだし、ユーザー数が増えて転送数が増えればサーバ管理者からにらみをきかされるわけだし、自サーバーを持てば金銭的負担が高まるし、そもそもVisual Studioにはお金がかかっているし、………プログラマだって霞を食べて生きている分けじゃないぞ!という感情が芽生えてくることもあるわけです。

金銭取得手段の誕生ですね。

なので、前の「開発費に関するアンケート」にも挙げたような手段が出てきます。具体的には、

  • Webに広告を出す(Google AdSense等)
  • Webで寄付を募る
  • ソフトウェアに広告を出す
  • ソフトウェアに寄付を募る(寄付ウェアに移行する)
  • 同梱ソフトを付ける(ヤフーツールバー等)
  • シェアウェアに移行する

等があるでしょうか。

ここで作者側は「ユーザー様はお客様だからユーザー様のご負担は極力減らします」だの「お客様は神様です」だのと言ったような綺麗事・美辞麗句による修飾語を付けて理由付けをするわけであり、逆にユーザー側はこれらの状況を無効化するための方策に翻弄し、時によっては法律やライセンスを使って作者を追い詰めるようなこともします。汚い言葉で罵ったり、暴言が飛び出したり、脅迫があったりすることもありますね。

ここらへん、作者側・ユーザー側、各々本音はあるでしょうけど、様々な美辞麗句を使ったり、法律やライセンス規定を持ち出したりして、本来の「ソフトウェアと金銭取得手段部分」以外の、うざったい議論が交わされます。正直、うざったい。

僕はフリーソフトの作者ではありますが、それはPCを利用して生活をしている中でのほんの一部分であり、大半の時間は、ソフトウェアの利用者として過ごしています(これは、多くのフリーソフトの作者だって同じことでしょう)。なので、両方の考えを、それなりに理解しているつもりではいます。

…と、いきなりこんなことを書いているのは、先日、Twitter上で、あるTwitterクライアントに関する広告問題がフォーカスされたからです。

僕自身、こういう立場でありますので、「広告賛成派」の方に属するものではあるんですが……、ちょっとこれは、やり方がいけなかった。

ちなみにこのTwitterクライアントは、僕自身も愛用するソフトだったのですが、広告が表示された途端に、このソフトウェアの重要な位置を占める機能の一部が使えなくなってしまったのです。

後で聞いた話だと、別にその機能が無くなってしまったわけではなく、環境によっては表示できていたし、新規インストールすれば表示できたみたいです。でもなぜか、僕の環境では使えなくなってしまった。

理由は分かりません。「特定環境で発生するバグ」だったのかもしれませんし、「表示のさせ方が直感的でなく、僕がただちに理解できなかった」だけかもしれません。とにかく、僕の環境で、そのとき、その瞬間は使い物にならなくなってしまった。

で、Twitterクライアントって、現在、群雄割拠な時代です。すぐに他クライアントを捜索したところ、フォロワーさんから様々なお勧めをいただき、現在は別のTwitterクライアントに落ち着いています。(ってか、こっちの方が普通に使いやすい)

僕にとっては、ただ単にTwitterクライアントを新たに探すきっかけになった事件だけだったわけですが、世間的にはそういうわけではなかったみたいです。

Twitter上を監視していると、次々と出てくる問題。

  • ソースコード公開ライセンス上の問題があった
  • ソフトウェア表示に使ってはいけないタイプの広告を使っていた
  • ローカルの一時ファイル名を使って広告表示をしているため、場合によっては個人名がネット上に送信されることになっていた

■確認したところ、昨日時点で修正版が公開されており、上の問題のうちのいくつかは解消されたようです。

等々……。

ちょっと、広告掲載を開始するには、見切り発車すぎたというか、準備不足だったというか。

ライセンス問題については、作者の方で「何らかの回避策」を取っていたらしいですけど。

「自身のソフトウェアの利用者数が減り」「広告付きソフト業界全体の評判を落とした」という結果になっただけなんじゃないか、と思えてきます。

(まぁ、ソフトウェアの利用者数が減ることが、作者の悲しみに繋がるのかどうかは、一概には言えません。利用者数の増加は、苦情数の増加に繋がるので。利用者数が減って、作者が悲しむと考えるのは、利用者と中間業者だけの思い込みである可能性もあります)

僕としては、Web業界におけるGoogle AdSenseみたいな、ソフトウェア中の広告に関するベストプラクティスを、こういった中から探ることができれば……とは思うのですが、ここでこう、変な風に(悪い調子で)騒がれてしまうとなると、しばらくは身動きが取れないだろうなぁ。目立った動きはできないだろうなぁ、とか思ってみたり。




Posted by 通りすがりC at 2011/12/04 18:19:57
初めまして。

今回の件は、やり方がまずかったのかもしれませんが、↓の件
・グーグル、「Chrome」ブラウザを新しい広告スペースとして利用 - CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/service/35011016/
に対するネットの反応を見ていて、何か、「広告に対して『過剰反応しすぎ』『脊髄反射で拒否反応示しすぎ』な人が多い」と思ってしまいます。

私も、「広告が好き」な人間ではないですが、「広告を載せる意味」については理解しているつもりです。「すぐに拒否反応を示す人」には、「多くのネットサービスが無料で利用できる理由」を、考えてもらいたいですね。

Posted by ayacy at 2011/12/05 12:07:38
たしかに「反対のための反対」としか思えない感情的批判が多くなりそう。
そういうのに的確に反論するためにも、抜け目のない(ましてや機能低下やライセンス違反のない)広告表示をやってほしいものですね。


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