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■最近購入した本のお話でも

2011年 2月24日(木) 0:01:55 [はてなダイアリーから転記]



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 今日は、最近購入した本のお話でも書いてみようと思います。

 

  とはいえ、最近は色々忙しくなって来ちゃいましたんで、世間で話題になっている作品の噂を聞きつけて、買ってみて、読んでみる、ということしかしていないですね。

 

  ちょっと前みたいに、とりあえず面白そうなライトノベルに手を出して読んでみる、みたいなことができなくなっちゃいましたんで。

 

  (お金的にも、時間的にも)

 

  というわけで、この2冊を購入してみました。

 

 

 

  見て分かるとおり、「表紙のインパクトで有名になった作品を選んだんだな」ってことですね。

 

  というわけで、簡単にご紹介と感想とか。

 

  ■もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/岩崎 夏海  とりあえず、インパクトがあるのが、この表紙です。

 

  まるで、ライトノベルを思わせるような表紙絵・挿絵。

 

  当然、作者なり編集部なりの作戦だったんだと思いますが、その作戦は見事にヒットし、この本は飛ぶように売れていったと言われています。

 

  マネジメント本の販売にあたって、自らをマネジメントしたんですかね。すばらしいことです。  実際に、まじまじと絵を見てみますと、どこか、いとうのいぢ風な感じのする絵柄っていうか、まぁとにかくライトノベルを連想させます。

 

  内容としては、とあるきっかけで、弱小高校野球部の女子マネージャーに就任した2年生の女子「川島みなみ」が、野球部の「マネージャー」をやるにあたって、「マネージャーとは?」「マネジメントとは?」と考えを巡らせ、「マネジメント」の本を購入して、組織=野球部と割り当ててみて、野球部をマネジメントしてみる、という本です。

 

  この本を買うにあたって、Twitter上で何人かの人に意見を伺ってみたのですが、

 

  ・とりあえず面白い(指南本として読む分には)

 

  ・ストーリーはありきたり

 

  ・図書館で読んだ感想としては、買うほどでもないかなぁ

 

  というようなものでした。

 

  まぁ、図書館に行ければいいんですが、近くの図書館の場所を知りませんし、そもそも図書館へ行く習慣がありませんから、買ってみることにしました。

 

  ただし、ストーリー的内容には期待せず…。

 

  まぁ読んでみますと、「マネジメント」の本を読んでいくときの読者の心理描写に沿って、わかりやすく書いてあるので、非常に読みやすい本であると言えます。

 

  そのかわり、ストーリーは、たしかにありきたり。ストーリー重視で見ると、損をした気分になるかもしれません。

 

  テキストとしてはライトノベルではないので、人物描写や環境描写、奇抜なストーリーは控えめです。

 

  今度、ドラマ化やアニメ化をするそうですが、視覚化すれば自ずと、人物描写や環境描写が求められるはず。制作者には、かなり多くの要素を追加することが求められるでしょう。どういった作品になるか、楽しみですね。

 

  しかしなんというか、じっくり読んでみると、Twitter上で「物語部分」につまらないという評判がつきまとっていた理由がわかるような気がします。

 

  上に書いたとおり「人物描写や環境描写、奇抜なストーリーは控えめ」なのですが、あまりに控えめすぎるのです。

 

  例えば、主人公みなみが「マネジメント」の一環として部員に「インタビュー」をして、意外にも驚きの結果を得たとする。この場合、この本では「みなみが得た情報は驚くものだった」くらいの表現しかされません。

 

  これがもし、ライトノベルなら、例えば西尾先生の作品とかなら、数個あるいは十数個くらいの「驚き」に相当する形容詞や名詞を重ねに重ねて、驚きをとても大げさに表現することでしょう。

 

  あるいは普通の小説でも、例えば村上先生の表現とかなら、「驚き」について、これでもか、あれでもか、と繊細かつ入念かつ執拗に「驚き」の様を表現することでしょう。

 

  そういうのが全然足りないのです。はっきり言って物足りない。この本を小説として読むには、そのあたりのつまらなさを覚悟する必要があるでしょう。

 

  でも実際、この本は売れているわけですね。それはどうしてか? なかなか興味深いところです。いくつか仮定を考えてみます。

 

  (1)本屋や王様のブランチなど宣伝屋の宣伝がうまいだけ

 

  (2)実は真面目なマネジメント補足本としては絶大な効果を発揮している

 

  (3)AKBのプロデュースをやっている人が作者ってことで売れている

 

  (4)ありきたりな体言止めタイトルでなく、文をタイトルにする手法(竿だけ屋メソッド)が効果的

 

  (5)ライトノベル的な表紙絵が効果的

 

  (6)この本を「マネジメント」することにより成功に導いている。まず、この本の顧客を定義して…

 

  僕としては、(4)(5)あたりに寄るところが大きいと思いますが、しかしそれも限界があるはず。本当のところはどうなんでしょうね。

 

  …さて、そんなことを思いながら最後まで読み進めていたのですが、なんと、最後の十数ページで、いきなりストーリー性が高くなりました。

 

  これだけの描写が全編的に続いていたら、スゴイ小説作品になっていたろうなぁ……と思うのですが、でもよく考えてみると、そんなにストーリー性を高めたら、絶対に一冊では収まりきらない文章量になりますね。

 

  また、勉強本としての簡素さも失われてしまう。

 

  マネジメント本としては、やはりあれくらいの簡素さがちょうど良いのかな、と今更ながら思い直しました。

 

  ■女医が教える本当に気持ちのいいセックス/宋 美玄

 

  まず、まっさきに思うのが、表紙や、冒頭部分の挿絵がエロ過ぎです。内容はいたってマジメなのに…。

 

  こちらも「もしドラ」同様に、表紙にインパクトがありすぎです。本屋として、こんな表紙では真っ当に陳列できないだろう…と思っていたら、僕の通っている本屋では、ごく普通に陳列してありましたね。

 

  たぶん、僕の心配など関係なく、作者なり編集部なりの作戦は成功しているのでしょう。

 

  で、とりあえず「セックス指南書」としては、入門的な、とても初歩的なことを書いている本です。内容的にはすばらしいものでした。

 

  この本の中で、筆者が一貫して言いたいことは、「アダルトビデオは男性の願望を映像化した仮想的なものであり、ファンタジーであるから、信じてはいけない」ということみたいです。

 

  ドラゴンボールを見てかめはめ波の練習をして強くなった気になるのと一緒、ってことでしょうかね。

 

  そんな感じで、世間に出回っているウソを暴き、本当はこうなんだよ、ということを「女性の立場で」「男性に向けて」教えるというのが、主な内容になっています。

 

  まぁ、勉強になりました。そりゃ、僕にとっては知らないことばっかりですから…。

 

  しかしアレですね。

 

  こういう指南書が多数登場する状況って、どういう時代なんでしょうかね。

 

  かつて、国会では某首相が「性行為のやりかたは、誰にも教わってこなかったが、自然と身についた」と発言していたり、テレビのニュースキャスターが「排泄の仕方なんて、誰も教えなくたって、できるようになるだろう」と発言したり…なんてことがあるようですが、実際にはどうなんでしょう。

 

  まぁ、排泄については、あまりにも幼い時代の話なので覚えていませんが、性行為のやり方なんてのは、アダルトビデオ以外の知識なんてありませんでしたね。あとは、インターネットの知識ですか。その程度でした。無知も無知。

 

  でも、人類は数百万年前から生きていて、その頃は、指南書どころか文字や言葉もなかったわけですから、どうやって「教えて」「教わって」いたのかなぁ…と思うわけで。

 

  (人間以外の動物については、今でも文字は無いですけど)

 

  しかし、大昔と今で(あるいは、人間以外の動物と人間で)違うことがあるとすれば、「タブー」と「文明の利器」の存在かな、と思います。

 

  「タブー」のせいで、本来、親から子/他人から本人へ伝えるべき基本的・生理的知識は伝わらなくなりました。

 

  「文明の利器」のせいで、その使い方を学習する必要ができました。(例えば和式・洋式のトイレは使い方を教わる必要があり、ベッド・布団上での行為もまた同様)

 

  加えて、セックスについては「アダルトビデオ」という間違った知識を広めるメディアが広まっています。

 

  そういうわけなので、こういう人間としての最低限であるはずの生理的知識まで教える本が存在しないと行けない状況になっちゃっているのかな、と、思いました。




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