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■少し前に「リーマン予想を証明したと発表」って話が話題になったけど

2018年10月 5日(金) 0:00:00 [さくらのブログから転記]



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少し前に、Twitter上で、エライ数学者さんが「リーマン予想を証明したと発表」したと話題になっていました。

そのまま、素数の秘密が解かれたからインターネットの暗号化の仕掛けが危ういとかなんとかとか、色々とざわついていました。

いちおう、私は大学では数学科を出ているので、この手の話題は注意深く見させてもらっています。

リーマン予想は素数の分布と関連する、数学におけるある未証明の予想であるわけですが、まだその発表された証明が正しいことが分かったわけではなく、発表された段階なので、慌てるのはまだ早いです。

その証明が正しいかどうかの検証に、通常は数年程度の期間を要します。

そのエライ数学者さんはこれまでも様々な証明を行い、かなり実績のある人物とのことですが、それと同じくらい雑な証明を提出していて却下されているとのこと。今回のリーマン予想の証明に当たる部分もだいぶ雑だそうなので、これで証明が完成したというには、だいぶ早いかな、と。

ただ、2000年代前半にロシアの数学者がポアンカレ予想の証明をした際も、当初は誰も理解できない難解すぎる証明が行われていたものの、数年かけて多くの数学者が検証し、雑な部分は保管され、最終的に正しいこと分かったということもありましたので、落胆するのもまだ早いです。

そういえば、1995年にフェルマーの定理(フェルマー・ワイルズの定理)が証明された際も、証明の検証にかなりの期間を要し、その過程で致命的な問題が発見されつつも、後に複数人でその問題を克服して、正しい証明に至ったってのもありましたし。

で、インターネットの暗号化の仕掛けが云々については、まだまだそんなことはないと思います。

なにせ百年以上前に「予想」されていたものなのですから、悪用したい人がいるならば、とっくに悪用されているはずです。

素数の分布が分かっても、暗号化のキーとなる巨大素数を直ちに求める方法が見つかっているわけではないので。

もしインターネットの暗号化の仕掛けに綻びが生じるとするなら、こういうことでしょう。

  • 証明により編み出された手法等から素数の分布の理解が向上する。
  • 暗号化のキーとなる素数のペアを探す際、候補を絞りやすくなる(高速に素数を探索できるようになる)。その方法が新たに発見される。
今のところ素数の分布の理解が向上するところまでは進んでいませんし、候補を絞りやすくなって目的の素数を高速に探索する方法が見つかっているわけでもありません。

現代の暗号化の仕掛けが破綻するのは、もう数ステップ先の話だと思っています。




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