INASOFT 管理人のひとことフリーソフトダウンロードサイト「INASOFT」の管理人 矢吹拓也 が日々の「ひとこと」を語るページです。 2021年1月1日より、旧ブログ(blog.inasoft.org)からお引越ししました。 ・INASOFT Webサイト: https://www.inasoft.org/ ・管理人のふたこと(長文記事/寄稿文): https://www.inasoft.org/talk/ 2022年7月下旬より再び本業多忙化してきているため、更新頻度は落ちます。 [2022/7/24 19:32] Tweet ■「火花」「スクラップ・アンド・ビルド」を読んでみた2015年 8月21日(金) 0:00:00 [さくらのブログから転記] |
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コンビニの棚に、大量の「文藝春秋」が並んでいたのを観て、そういえば、又吉直樹氏の「火花」の芥川賞受賞が決まって増刷するというニュースを見たっけなと思い出し、とりあえず購入することにしました。 970円で、芥川賞受賞作2作品全文が読めて、評価やインタビュー記事が読めるのだから、かなり得なんじゃないかと思いまして。 (ちなみに、Amazon.co.jpでは、「火花」「スクラップ・アンド・ビルド」は共に1296円) まぁ、nanacoポイント2倍のキャンペーンもやっていましたしね。 というわけで、読んでみた感触を書き残しておこうかと思います。 (↓以下、ネタバレあり) 僕は、どちらかというとライトなノベルを読むことが多かったので、名だたる文学賞を受賞する作品や、受賞者が書く作品なんて、難解で読みづらいんじゃないかと思っていた時期がありました。 しかし、「蛇にピアス」(著:金原ひとみ)、「蹴りたい背中」(著:綿矢りさ)を読んだときに、その考えは間違えだったことに気づきました。そりゃそうですね。受賞するような、審査員に受け、万人に受けるほどの作品が、そんなに読みづらい訳はないのです。 「1Q84」(著:村上春樹)を読んだときも同じ。すごく読みやすかった。 そのあたりから考えが変わり、偉大な作品である要素の一つは、読みやすいことなんだと理解するようになりました。 で、「火花」(著:又吉直樹)を読んだときに思ったのは、書いてある内容は面白いけど、意外と読みにくい文体だな、ということ。でも、話は分かりやすい。 その違和感の正体は、選評を見て、理解しました。 又吉氏がインスパイアする過去の作品からの影響。でも、自らが書こうとしている小説に「ひたむきに向き合い続けた結果」があぶり出されたもの。 なるほど、だから、読みにくいけど、なるほど分かりやすいんだな、と。 どういう作風の作品であっても、「それと向き合い続け、最後まで書き抜き通し、終了させる」というのは、非常に難しいこと。 以前、僕自身、シューティングゲームのシナリオを書いていたことがきっかけで、コミケ向けに同人小説を1冊書いて売った経験があるのだけど、それってムチャクチャ難しいことだというのはよく知っています。 (僕なんかと、芥川賞受賞者を比較なんかはぜんぜん出来ないけど) ライトノベルでも、途中で筆を放り投げちゃっている人を多く見かけるし。 あと、お笑い芸人なので、お笑いの要素をあちこちに仕込んでいるのが面白かったですね。 これは多分、普通の小説家ではできないことで、又吉さんだからできることなんだろうな、と。 (品川祐の小説『ドロップ』も、そんな感じだったみたいですね。僕は映画しか観ていないので、機会があったら原作小説も読んでみたい。) 純粋に小説家として、ユーモアがあって面白いのは「スクラップ・アンド・ビルド」の方ですね。 様々な社会問題を盛り込み、様々な苦悩を抱え、なかなか職に就けない青年が、祖父の介護をする話を中心に描いていますが、介護の様子や考えについて、ピントがずれたユーモア溢れる描き方がされていて、面白い。 もちろん、扱われている問題は、現在の日本が抱える深刻な問題であり、話の内容や、考えさせられる内容は深刻そのものであり、笑い事ではないのだけど、主人公の青年がシュールにボケていて、作品が面白く仕上がっている。 それと、文体はとても読みやすい。僕の考えている受賞作の備えている要素としての読みやすさは、こっち「スクラップ・アンド・ビルド」だ。 多分、世間的に話題作になっているのは「火花」なので、もし単行本を買っていたとしたら「火花」の方だけを買っていたかもしれない。 今回はたまたま、「文藝春秋」を買えたので、両方読めたのは、とてもラッキーでした。 目次の表示: ブログではないので、コメント機能とトラックバック機能は提供していません。ご質問・ご意見等はメール、フィードバックまたはTwitter等からお願いします。いただいたご質問・ご意見などは、この「管理人のひとこと」の記事に追加、あるいは新規の記事にする形で一部または全文をそのまま、あるいは加工させていただいた上で、ご紹介させていただく場合があります。 当サイトでは掲載内容による不具合等に関する責任を持ちません。また、内容の正確性についての保証もありませんので、情報をご利用の際は、利用者の自己責任で確認をお願いします。 |
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